お知らせ

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2019.05.17

歴史あるタオル会社の新しいスタート(株式会社丹後 取締役の丹後佳代氏)

歴史あるタオル会社の新しいスタート(株式会社丹後 取締役の丹後佳代氏)

英字新聞であるThe Japan Timesが、日本から世界に発信していく「Satoyama」。
2018年1月よりThe Japan Timesにて連載を開始しております。(隔週の月曜日掲載)
コラム名は「satoyama consortium in focus」。
記事はThe Japan Times Onlineにもアーカイブされ、全世界に日本の里山での活動を発信しております。

URL:https://www.japantimes.co.jp/consortium/satoyama/

※今回は、2019年5月6日付のThe Japan Timesに掲載した記事の和訳を紹介いたします。

タイトル:歴史あるタオル会社の新しいスタート

愛媛県今治市は120年以上も前から、日本のタオル生産の中心地の一つである。丹後佳代氏は夫とともに3年前、後継者がいないために廃業準備をしていたタオル工場をつぶすまいと、タオル作りの世界に飛び込んだ。4月11日に東京で開催された「第9回 Satoyama カフェ」で、丹後氏はタオル製造業をよみがえらせるための挑戦について語った。

この催しは、Japan Times Satoyama 推進コンソーシアムと、ガイアックスとおうえんフェスによって設立された「地域おうえん BASH」の共催で開催された。コンソーシアムの目的は、地方の里山を有効活用する取り組みを支援することである。

今治のように、特定の産業クラスターが長く続いている地域での事業は家族経営で、代々家族が継ぐことが多い。丹後氏のようなケースは例外的だ。

5歳と8歳の子供を育てる丹後氏自身も、今治の小さな町で生まれ育った。「田舎に生まれた若者の多くと同じように、私も大学進学のために故郷を離れることを選んだのです」と丹後氏は話した。

兵庫県で大学を卒業し、小学校教諭として働いた後、結婚のため今治に戻った。夫となったのは、60年続く家業の不動産と保険の会社を継いだ男性だった。

若いころには逃げ出したかった町だったが、「不動産と保険の事業を営む中、私も夫も、地域の方々とのつながりや、地元の支えが本当にありがたいと感じるようになり、どうやってお返ししていこうか、と考えるようになりました」と丹後氏は語った。

ある日、近所の老舗のタオル工場が廃業の準備をしているということを耳にした。高齢化の進む地方のコミュニティで不動産業を経営していると、後継者がいないために廃業を決め、不動産を売りに出したり、貸したりする経営者に出会うことが多かった。このタオル会社も同様のケースだった。

「私たちも古くから知っている、90年以上の歴史のある会社だったのです。失うわけにいかないと思いました。だから、タオル事業を引き継ぎたいと申し出たのです」と丹後氏は述べた。そんな重荷を背負うべきではないと、最初はその経営者も申し出を断った。廃業の準備をすでに進めていたので、顧客も売り上げもすでにゼロになっていた。

しかし、社名を完全に変えるということを条件に、ついに引き継ぎの申し出を受け入れた。

「まっさらなところからスタートしてほしいという親心だったのだろうと思います」と丹後氏は話した。社名は株式会社丹後とし、丹後氏の夫が代表取締役、丹後氏自身は取締役に就任した。前の経営者のもとで働いていた数名のベテラン職人とともに、タオル事業を再開した。当時の社内の平均年齢は68歳だった。

「彼らのスキルと古い織機を守りたかったのです。最近はもっとハイテクな機械もありますが、熟練者の手によってしか作り出せないスタイルや品質があるのです」と丹後氏は述べた。

しかし、顧客がゼロの状況で、ただただタオルを作り始めることはできなかった。

「タオル作りも、販売もマーケティングもやったことがありませんでした。何の知識もなかったので、とにかく思いつくことを片っ端からやりました」と丹後氏は語った。百貨店を訪問し、雑誌の出版社にメールを送り、オンラインショップを立ち上げた。

伝統的な製法と品質を守ることにかける会社の熱意を知らしめるため、人と会って話をしたり、手紙を書いたりもした。彼女のこうした努力のおかげで、彼らのタオルのファンが増えていった。

丹後夫妻は、日本語の「織る」と「幸せ」を組み合わせて自社ブランドの名前を OLSIA とした。OLSIA のタオルは、今では百貨店でも売られており、雑誌にも掲載され、ネットでも見つけることができる。

「私たちが工場を引き継ぐまで、OEM 生産のみでタオルを作ってきた職人さんたちは、おしゃれな雑誌に自分たちが作ったタオルの写真が載っているのを見て、驚くと同時に、誇りに感じてくれました」と丹後氏は話した。

丹後で働く社員の数は20人に増えた。ベテランの職人からスキルや技を学んでいる、若い従業員もいる。

「若い人たちが働きたくなる会社にしていきたいと思っています」と、丹後氏はほほ笑んだ。

原文はこちら(英文)
https://www.japantimes.co.jp/satoyama-consortium/2019/05/05/satoyama-consortium/clean-start-long-standing-towel-business/

株式会社 丹後 / TANGO Inc.
http://www.tango-imabari.jp/

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