お知らせ

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2018.03.07

人と自然との絶妙なバランス〜三重県知事の鈴木英敬さん(三重県)

人と自然との絶妙なバランス〜三重県知事の鈴木英敬さん(三重県)

英字新聞であるThe Japan Timesが、日本から世界に発信していく「Satoyama」。
2018年1月よりThe Japan Timesにて連載を開始しております。(隔週の月曜日掲載)
コラム名は「satoyama consortium in focus」。
記事はThe Japan Times Onlineにもアーカイブされ、全世界に日本の里山での活動を発信しております。

URL:https://www.japantimes.co.jp/consortium/satoyama/

今回は、2018年1月8日付のThe Japan Timesに掲載した三重県知事の鈴木英敬さんのインタビュー記事を紹介いたします。

人と自然との絶妙なバランス

2011年に36歳で三重県知事に就任し、現職で最も若い知事となった鈴木英敬氏は、三重県を観光客にとっても県民にとっても魅力的な県にするため尽力してきた。

三重県は、森林や海岸地帯など豊かな自然に恵まれている一方で、1960年代から1970年代初頭にかけては深刻な大気汚染を経験しており、これを官民が連携して乗り越えてきたことが、県民の自然への意識をより高めることにつながった。

牡蠣や真珠、伊勢海老などの海産物で有名なこの地には、海女という特殊な文化もある。海女とは、海に潜ってアワビなどの貝類や海藻を採ることで生計を立てる職業だ。

「海女の仕事を見学してもらったり、道具などがしまってある海女小屋の中で海女と一緒にバーベキューを楽しんでもらうといった体験型の観光を推進することで海女の伝統を守る取り組みを実施しています」と鈴木知事は語った。

その昔、海女が誕生した時から、海女の漁法は常に持続可能性を考慮したものになっていた。「乱獲を防ぐため、ウェットスーツは一家に一着という決まりがある地域もあります」と知事は説明した。

三重県は、伝統から学ぶと同時に新しい試みも行なっている。牡蠣養殖の課題は、季節が限定されることと、殻廃棄物が出ることだ。

三重県の浦村アサリ研究会は、両方の問題を同時に解決する方法を見つけた。「牡蠣の殻を砕いた粉末は、アサリの養殖に適しているのです。このおかげで、牡蠣のオフシーズンの夏場にできる仕事が生まれました」と鈴木知事は言った。
山間部、特に住人によって手入れのされた里山では、生物多様性と人々の暮らしを守るための挑戦が続いている。動物にとって森を棲み良い状態に保つことで、作物への被害は減ってきた。それでも数の多すぎる獣種は、ジビエ料理などを広めて楽しんでもらうことで調整する。「こういった努力の結果、鹿による作物への被害は半分近くに減りました」と鈴木知事。

忍者ツーリズムというのもまた、おもしろい取り組みだ。三重県の伊賀は、有名な忍者の一族が拠点とした地として知られている。「伊賀流忍者博物館の来場者のうち16%は外国人です」と知事は言った。忍者ツアーに参加すると、午前中の畑仕事に始まり、午後の陶器作り、夜の訓練まで、忍者の一日を体験できる。

知事は、「持続可能な方法で、未使用もしくは再利用ができる資源を最大限に活かすことで金融経済だけに頼らない価値を生み出すことが重要です」と語った。これは、三重県の政策アドバイザーの一人である藻谷浩介氏の著書、「里山資本主義」に書かれた内容に沿った考え方だ。

過疎化した地域を再生する方法には二通りあると鈴木知事は語った。一つは、人口を増やすためにより多くの人を惹きつけること、もう一つは、人口が減っても持続可能かつ満足な生活を住民に約束することだ。

「どちらにしても、重要なのは、精神と経済、そして人と人とのつながりと人と自然とのつながりの豊かさなのです」と鈴木知事。これらの三つの豊かさを充実させるための官民一体となった努力の成果は、県民の意識調査に反映されている。「意識調査の結果から、地元に対する誇りや愛着が着実に醸成されていることがわかります」と考察した。

鈴木知事はまた、Japan Times Satoyama推進コンソーシアムが日本各地の様々な立場の人々が集い、経験や考えを共有し、長期的な協力体制を作る基盤になりうると考えている。

原文はこちら(英文)
https://www.japantimes.co.jp/consortium/2018/01/07/satoyama/delicate-balance-people-nature/

※今回ご紹介した地域である三重県は、本コンソーシアムの協力自治体として参画いただいております。

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