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2018.05.02

地域の資源が持続可能な社会のカギに〜2018年2月13日開催、Japan Times Satoyama推進コンソーシアム キックオフフォーラム パネルディスカッション

地域の資源が持続可能な社会のカギに〜2018年2月13日開催、Japan Times Satoyama推進コンソーシアム キックオフフォーラム パネルディスカッション

英字新聞であるThe Japan Timesが、日本から世界に発信していく「Satoyama」。
2018年1月よりThe Japan Timesにて連載を開始しております。(隔週の月曜日掲載)
コラム名は「satoyama consortium in focus」。
記事はThe Japan Times Onlineにもアーカイブされ、全世界に日本の里山での活動を発信しております。

URL:https://www.japantimes.co.jp/consortium/satoyama/

今回は、2018年4月16日付のThe Japan Timesに掲載したJapan Times Satoyama推進コンソーシアム キックオフフォーラムのパネルディスカッションの要約を紹介いたします。
本コンソーシアムのアドバイザーであり、ボストンコンサルティングのシニア・アドバイザー御立尚資氏がモデレーターとなり、また三重県の伊勢志摩里海学舎で理事を務める下川元三氏、広島県地域政策局中山間地域振興課長(当時)の木村富美氏、NTT の新ビジネス推進室長兼2020準備担当の栗山浩樹氏にパネラーとして出席いただきました。

タイトル:地域の資源が持続可能な社会のカギに

東京で先に行なわれたフォーラムでパネリストは、持続可能な社会のモデルとなりうるものをつくるために地域社会では関係者の協力を深めることが必要不可欠だと、自身の経験を語りながら強調した。

国際社会は、かつて工業化を成し遂げ、現在人口減少に直面している日本が、どう社会変化に取り組むのか注目していると、ボストンコンサルティングのシニア・アドバイザー御立尚資氏は述べた。

2月13日にジャパンタイムズが主催したフォーラムのパネルディスカッションのモデレーターを務めた御立氏は、「地域の自然資産を活用することは、資本主義をうまく回していく持続可能な社会を実現する上で大事なことです」と語った。そして、「そうしたモデルを作るための壮大な実験が始まっています」と述べた。

日本中の様々な取り組みを見てきた御立氏は、関係者が産官民の違いを乗り越え、協力して共通の目的に向けたやり方を見つけることが、そうした資源を生かすためのカギになると指摘した。

3名のパネリストのうちの一人、三重県の伊勢志摩里海学舎で理事を務める下川元三氏は、環境省で国立公園のレンジャーとしての勤務を経て、志摩市の英虞湾にある人口80人ほどの間崎島で活動している。

英虞湾は真珠養殖発祥の地として知られ、その伝統は100年以上も前に御木本幸吉によって始められた。その後、過度な養殖で海の環境が悪化してしまったが、将来も真珠が養殖できるよう、人々はきれいな海を作っていく取り組をするようになったと下川氏は説明した。

「私たちは、養殖産業を直接見て、海の環境を体験してもらい、多くの観光客やよその人たちを呼び込もうとしています。こうした取り組みは、エコツーリズムの観点からは自然体験をしてもらっているといえます」と下川氏は述べた。

高齢者が約80パーセントを占める島のコミュニティに溶け込むために、様々な努力が必要だったと下川氏は振り返った。下川氏は、地元民を悩ませていた問題の解決を手伝うことで、徐々に彼らの信頼を勝ち取っていった。

「役人だったときは民間の人がどんな苦労をしているのかまったく分かりませんでした。ですので、行政の人たちには民間での生活を経験してもらうことをお勧めします」と下川氏は話した。

過疎地域を活性化させるために、広島県は政策面で二つの大きな発想転換をしたと、広島県地域政策局中山間地域振興課長(当時)の木村富美氏は話した。

中山間地域の振興計画作成にあたり、広島県はないものをなくすのではなく、すでにあるものを生かすことに決めたと、木村氏は語った。

「そうした地域の人たちはここには何もない、つまりコンビニやレストランなどがないと、よく言います」と、2014年度に同課長となった木村氏は述べた。そして、「ですが、間伐材をロケットストーブも含めたいろいろな用途に使うために、地域の中で循環させるなど、間伐材活用の取り組みをしている人たちもいます」と話した。

もう一つの転換は、中山間地域や離島の魅力など、広島が持っている価値に共鳴する人たちを呼び寄せるためにさらなる努力をすることだったと、木村氏は述べた。

「そうした地域の暮らしに引かれた人で、移住した人もいます」と木村氏は話した。そして、「出て行く人を引き止めるよりも、そうした価値に共鳴する人を引き寄せる方がいいと考えたのです」と述べた。

広島県は振興計画の作成後、中山間地域の資源を最大限活用していく人材を育成するために、20代~40代を対象とした塾を始めた。

「塾の成果として、鹿肉の食用に適さない部分を使ってペットフードを作るというビジネスができました」と木村氏は話した。そして、「あるものをどう生かすかを考えている若者がたくさんいます」と語った。

一方で、地域コミュニティの活性化には最新の技術が導入されてもいる。NTT の新ビジネス推進室長兼2020準備担当の栗山浩樹氏によると、同社は島根県の離島である海士町での光ファイバー敷設事業を含め、日本全国でインフラ整備を手助けしているという。

「地方創生の一つで、私たちは大きな都市でインフラにデジタル技術を導入する手伝いをしており、観光や商業の振興、交通対策をデジタル化により手助けしています」と栗山氏は述べた。

例えば、札幌市では大雪が195万人の生活や交通に大きな影響を与える。よって、同市はより快適な住環境を提供するためにいろいろなデジタル機器を導入しようとしていると、栗山氏は語った。

「私達の技術はインバウンドの旅行者がどこでどうお金を使うか、どう周遊しているかの見える化もします」と栗山氏は述べた。そして、「地元企業がそうした統計データをマーケティングに使えます」と話した。

栗山氏はさらに、「想定と違って、食品が旅行者によく売れることが分かりました。これまで見えなかった、あるいは見逃していた市場を皆で、市全体で開拓しようとしています」とも語った。

また栗山氏によると、「もう一度この国を元気にしたい」という願いから、NTT は2020年東京オリンピック・パラリンピックのパートナーになった。そして、同社は J リーグも支援しているという。

※今回ご紹介した地域である三重県及び広島県は、本コンソーシアムの協力自治体として参画いただいております。

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